アイリッシュ・ウイスキーのミニチュア・ボトル – その5

雑談
10 /04 2020

アイリッシュ・ウイスキーのミニボトル紹介シリーズ第五弾です。


 

今回は、北アイルランド関係のウイスキーをご紹介します。

 

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まず、左端はフレンド・アット・ハンドというウイスキー。13年モノのシングル・モルト。これは、ベルファストにある同名のウイスキー専門店のオリジナル・ブランドです。ウイスキー自体はどこかの蒸留所から調達したものと思われます。ラベルには握手のイラストが描かれていて、その下には「Reconciliation」(和解) の文字が見えます。北アイルランドの過去の紛争、そして和平への道がイメージされているのは間違いないでしょう。


 

このお店は、近くにあるデューク・オブ・ヨーク (Duke of York) という有名パブがおそらくやっているんだと思います (お店のウェブサイトがパブのサイトの中にあるから)。フレンド・アット・ハンドを訪れた際には、このパブにも寄ってみてはいかがでしょうか。年代モノのパブミラーやホウロウ看板が所狭しと飾られています。


 

真ん中に写っているのは Titanic というウイスキー。ご存じの方も多いと思いますが、タイタニック号はベルファストのハーランド・アンド・ウルフという造船所で建造されました。ベルファストにはベルファスト・ミュージアムという体験型アトラクションが2012年にオープン。観光の目玉になっています。

 


このウイスキーは、タイタニック・ディスティラーズ社というベルファストの会社が販売しています。ウェブサイトを見てみましたが、コンテンツが薄く、詳しいことはあまりわかりませんでした。


 

写真右側に見えるのは、フェッキン・ウイスキー。ダウン (Down) 県のカーカビン (Kircubbin) という小さな村にあるフェッキン・ドリンクス社の製品。カーカビンにはエクリンヴィル蒸留所という2013年にできた蒸留所があります。この蒸留所では、ダンヴィル (Dunville) という由緒あるブランドのもとにウイスキーを製造しています。フェッキンの製品は、この蒸留所のウェブサイトのショップでも売られているので、少なくともなんらかの関係があるはず。フェッキンというちょっとやんちゃなイメージの商品を別ブランド/別会社で出している、ということなのかも。

 


フェッキン (Feckin’) というのはアイルランドのスラングで、ありていに言えば、いわゆる F ワードの代用となる言葉。F ワードよりは柔らかい言い方なので、商品名に使っても大丈夫。


 

もともとは、Feck というアイルランド語の動詞があって、これは「素早く盗む/投げる/去る」という意味。これに ing がついて、F ワードと響きが似ているので、代用語として使われるようになった。


 

おもしろいのは、7世紀のアイルランドにはセイント・フェッキン (Saint Fechin) という聖人がほんとうにいたこと (読みはフェヒーンとかそんな感じらしいが)。ラウズ (Louth) 県にはターモンフェッキン (Termonfeckin) という名の町があって、ここは冗談のネタによく使われます。デビッド&ビクトリア・ベッカム夫妻がご長男にブルックリンという名前を付けたのは、ブルックリンにいたときにできた子供だからなのですが、もしターモンフェッキンでできた子供だったらターモンフェッキンと付けたのか、とか。ターモンフェッキンには聖フェッキン教会というのが2010年頃まで実在しました(建物は今もあります)


 

すみません。余談が過ぎました。


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続きまして、北アイルランドはデリー (Derry: イギリスでの呼び名はロンドンデリー) という都市にあるクワイエット・マン・アイリッシュ・ウイスキー社のウイスキーです。ブレンド・ウイスキー(左)と 8 年モノのシングル・モルト。クワイエット・マンと聞くと、ジョン・ウェインとモーリン・オハラが主演し、アイルランド4北西部のコングという町で撮影された『静かなる男』が真っ先に頭に浮かぶと思います。


 

しかし、少なくとも公式には、このウイスキーの名前は映画にちなむものではありません。オーナーのキアラン・マグロー氏の父親は、ベルファストでバーマン (バーテンダー) として50年以上働いていました。お父さんはもともと物静かな人だったようですが、バーマンとして見聞きした客のゴシップなどは一切口にしなかったとか。マグロー氏はそうした父親へのリスペクトから、自分のウイスキーにクワイエット・マンと名付けたようです。ラベルに書かれている「An Fear Ciuin」は、アイルランド語で「静かなる男」の意味です。

 


この会社は、2017年に蒸留所の建設を始めたのですが、商業的な理由で201811月に建設を中止。20184月にアメリカのLuxco という会社が、クワイエット・マン社の親会社となっており、そのことが関係したのだろうと思われます。この蒸留所が稼働していれば、デリーで新しい蒸留所が操業を始めるのは200年以上ぶりだったそうです。


 

今回は以上です。


 

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tarafuku10

アイルランド・ダブリン在住。男性。