ジェムソン蒸留所ボウ・ストリートの見学ツアー

蒸留所
07 /24 2020

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ダブリンのスミスフィールドにあるジェムソン蒸留所は、ボウ・ストリート蒸留所として1780年に誕生しました。統括マネージャーだったジョン・ジェムソンがオーナーシップを握ったのが1805年。1810年には正式にジョン・ジェムソン&サンズ・ボウ・ストリート蒸留所 (John Jameson & Son’s Bow Street Distillery) に改称されました。


 

19世紀後半の最盛期には、敷地の中に鍛冶屋、樽職人、木工所、技術者、塗装屋、大工などが店を構え、「街の中の街」と呼ばれていたそうです。


 

20世紀前半のアイリッシュ・ウイスキー産業全体の衰退を受け、生き残りの策として、ジェムソンはジョン・パワー蒸留所およびコーク蒸留所と合併して1966年にアイリッシュ・ディスティラーズ社を設立。1971年にジェムソンのボウ・ストリート蒸留所は閉鎖されました。


 

博物館として生まれ変わったのは1997年のこと。ダブリンの人気観光施設となります。2016年から17年にかけて7か月間休業し、1,100万ユーロを費やして改装。その直後の1年間だけで35万人がここを訪れています。



ちなみに、改装にあたって設計を担当したのは、カリフォルニアにあるBRC イマジネーション・アーツという会社です。この会社は、ダブリンのギネス博物館、アムステルダムのハイネケン博物館、アトランタのコカ・コーラ博物館などを設計した経験もあります。


 

改装前はオールド・ジェムソン蒸留所 (Old Jameson Distillery) と言っていたのですが、再オープンしてからは、ジェムソン蒸留所ボウ・ストリート (Jameson Distillery Bow Street) が正式名称となっています。


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 ちなみにジェムソンの正式な表記は「ジェイムソン」ではなく「ジェムソン」です。輸入元のペルノ・リカール・ジャパンも「ジェムソン」と表記していますし、サントリーさんが輸入元だった頃もそうでした。実は、英語でも「ジェイムソン」と読むのではなく、「ジェムソン」という発音にこだわっています。以前ツアーに参加したときに、アメリカ人のお客さんがガイドさんに「ジェイムソンとジェムソンとどっち?」みたいな質問していて、ガイドさんがそんな風に答えていました。



このミュージアムは私のアパートから歩いて2分の場所にあり、私は改装前に2 回、再オープンしてから2回行ったことがあるのですが、20192月に行ったときの様子を今日は書いてみたいと思います。



既に書いたように、この施設は1970年代に蒸留所としての役目は終えており、ここでウイスキーは製造されていません。したがって現在は純粋に観光客向けのミュージアムということになります。ダブリンにはティーリング蒸留所やピアース・ライオンズ蒸留所など、稼働している製造工程を見学できるところもあります。しかし、いかめしい当時の建物がそのまま使われているジェムソン蒸留所ボウ・ストリートは、ダブリンのウイスキー作りの伝統を体感するには最適の場所かもしれません。大きな煙突なんかもそのまま残っていますし。


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さて、見学ツアーですが、15分ごとのスタートとなります。土曜の午後だったのですが、ほぼ待つことなく参加することができました。1回のツアーの参加者は30人くらい。アメリカやヨーロッパからの旅行者が主ですが、アイルランド人ももちろんいます。

 


最初に入った場所にはジェムソン・ウイスキーの歴史がパネル展示されています。ただし、ここはガイドさんが来るのを待つための部屋らしくて、ガイドさんがすぐに来たのでパネルを読む時間はほとんどありませんでした。ガイドさんは、ざっくばらんな語り口が持ち味のアイリッシュのお兄さんです。


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ガイドさんに導かれて次の部屋に入ります。ここからがツアーとなるので、ここが最初の部屋ということにさせていただきます。ここでは映像を見ながらジェムソンの歴史を学ぶのですが、新しいなと思ったのは、お客さんが囲んだ中央のテーブルに映像が映し出されるのです。映画館みたいに前の画面を見るよりも、ずっと親密な感じがします。


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次の部屋では、前面のパネルでウスキーの製造工程を学びつつ、テーブルにある仕掛けでいろいろインタラクティブに遊べます。バーボンのバレルとシェリーのバレルの香りを嗅いだり、発芽した(Malted)大麦を味わったり (Unmaltedの大麦は固いので食べたらダメ!)、ポットスティルとコラムスティルで蒸留したウィスキーの香りを比べたりとかです。


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3の部屋はいよいよウスキーの飲み比べです。ジェムソン・ウスキー、スコッチ・ウスキー、バーボン・ウスキーをティスティングします。ジェムソンはまろやか、スコッチは煙くさい、バーボンはスパイシーみたいな。


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ツアーは以上ですが、チケットの半券をバーに持っていくと、1杯無料で飲むことができます。私はソーダ割りをいただきました。


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ここはほんとうによく考えられた観光アトラクションだなあというのが私の感想です。所要時間は40分。歴史・製造法・ティスティングの3部構成でコンパクトにまとめられていて、間延びするところがありません。これには、ストーリーテラーと呼ぶにふさわしいガイドさんの話術も大きく貢献していると思います。照明などの雰囲気づくりも抜かりありません。所要時間は40分で、短いと思われるかもしれませんが、物足りない感じはしません。

 

これって、時間がかかり過ぎてもよくないと思うんですね。観光客はほかの観光地もいろいろ回りたいわけで、ジェムソンが終わったらギネス博物館行って、ケルズの書も見たいしなんて思っているわけですから。長居したければ、1階のバーでゆっくりすることもできます。


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入場料は22ユーロ(学生と65歳以上は18ユーロ)。私はちょうどいいお値段だと思います。もちろんジェムソンの企業イメージ向上・商品プロモーションという一面もあるわけですが、観光地である以上、きっちりお金をとって、内容も充実させる、というのが正しい観光施設の在り方だと思うわけです。そうしないと、いくらインバウンドで海外から人がきても、経済的効果につながらないということになりますから。

 

私は日本の蒸留所の見学ツアーもいくつか参加させていただいたことがあるのですが、サントリーさんは1000円。ニッカさんとキリンさんは無料でした (20181月のこと)。工場見学がメインの目的とはいえ、ガイドさんもいて、ビデオや展示も用意されているのですから、最低でも1500円ぐらいは取ってもいいのではないかなと個人的には思いました。


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上の写真の左手に見えるのがジェムソンの煙突です。20年ほど前にてっぺんに展望台を作り、観光客がダブリンのパノラマビューを楽しめるようにしたのですが、安全性の問題から数年で閉鎖されてしまいました。ところが、23年ほど前からでしょうか、また登れるようになったのです。次の記事で、この煙突に登ったときの話を書きたいと思います。

 

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tarafuku10

アイルランド・ダブリン在住。男性。