アイリッシュ・ウイスキー・ミュージアム

蒸留所
07 /26 2020

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2013 年にオープンしたアイリッシュ・ウスキー・ミュージアムは、何といってもその立地が最高なのです。ケルズの書やロングルーム (図書館) で有名なトリニティ・カレッジの真向かいにあり、グラフトン・ストリートやテンプルバーなどの商店街/繁華街もすぐ近くです。とにかく市内のいろいろな場所を短時間で巡りたい方に最適です。

 

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ミュージアムという名前ですが、ガイドさんの話を聞きながら館内を回るという、蒸留所の見学ツアーと同じシステムになっています。

 

私も2回ほど訪れたことがあるのですが、昨年2月の 2 回目の訪問時のことを書いてみたいと思います。

 

参加したのがたまたま12時という早い時間帯のツアーということもあってか、お客さんは私を含めて7人です。多いと30人くらいになるらしい。

 

ツアーは4部構成です。最初の部屋ではこちらの画面で短いビデオの上映。


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役者さんを使った歴史劇風の凝った映像で、ガイドさんがナレーションをその場で付けていくスタイルです。ガイドさんはグレースさんという若い女性の方です。

 

こんな感じの雰囲気のある小道具も配置されています。


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2つ目の部屋は、中世のパブだか密造酒製造所を模した内装。3つ目の部屋がビクトリア朝時代のパブのような造りです。


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基本的に、ガイドさんがストーリーテラーとなって、ウイスキーにまつわるさまざまな歴史やエピソードを語っていくんですね。墓場泥棒の話もありましたし、アイルランドでどれほど密造酒製造が盛んだったかという話もありましたし、ウイスキーの貯蔵庫から出火してダブリンが大火事になったとき、火災で死んだ人より流れ出したウイスキーを飲みすぎて急性アルコール中毒で死んだ人の方が多かったという話もありました。

 

お話の内容は、ウイスキー初心者の方でも、かなり詳しい方でも楽しめると思います。私が面白かったのは、「Saved by the bell」の語源の話。私はこれは「ゴングに救われる」みたいなボクシング用語だと思っていたのですが、実はそうではなかった。昔は医学が発達していなかったため、昏睡状態になっただけで死んではいないのに埋葬されてしまうということがあった (メチルアルコールを飲むと、失明、昏睡、最後には死に至るみたいな話の流れでこの話になった)。それで棺桶の中にベルを入れておくことで、昏睡から覚めた人がそのベルを鳴らして助けを求めていた、みたいな話。

 

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前回来たときは、ビクトリア朝パブの部屋で、上の写真の肖像画がしゃべり始めて説明するみたいな仕掛けがあったんですが、今回はなくなっていました。

 

4つ目の部屋はいよいよテイスティングです。このミュージアムは特定のウイスキー会社ではなく、インバウンド専門の旅行会社が運営しています。したがって、いろんなブランドを飲み比べることができます。

 

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クラシック・コース (20ユーロ) を選んだ私が試飲したのは、ダブリナー、パワーズ、そしてアイリッシュマンの3つ。ほかの人はみんなプレミアム・コース (23ユーロ) を選んでいて、ナポーグ・キャッスル (Knappogue Castle) という 12 年物のウイスキーも試飲していました。プレミアムにはお土産のグラスもついてくるので、行かれる方はプレミアムを選ばれるもいいのではないかと思います。

 

さて、私が試飲した 3 つの中で一番おいしいと思ったのはパワーズです。パワーズはジェムソンやタラモアデューなどと並ぶ、アイルランド定番のブランドで、輸出はほとんどされていませんが、4年ほど前まではアイルランドで一番飲まれていたウイスキーでした。

テイスティングしたパワーズは、一番安い価格帯 (30ユーロぐらい) のものでしたが、同価格帯のジェムソンやブッシュミルズと比べても、その豊饒な味わいと胸いっぱいに広がる温かさは格別です。ブレンド・ウイスキーですが、確かモルト・ウィスキーの割合がジェムソンなんかより高かったと思います。

 

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ちなみに、いまアイルランドで一番飲まれているウィスキー・ブランドはやはりジェムソンです。ジェムソンもパワーズもアイリッシュ・ディスティラーズ社のブランドなのですが、国際ブランドであるジェムソンに広告資源を集中させたらしいのですね。パワーズの広告を大々的にアイルランド向けだけに制作するのは効率悪いと考えたのでしょう。

 

ダブリナーはダブリン・リバティーズ・ディスティラリーという割と新しい会社のウイスキー。グレーン・ウィスキーの割合が高いウイスキーだそうです。

 

アイリッシュマンはフルーティーな独特の味。青りんごの香りがします。独特すぎて、一口飲んだだけではちょっと好きか嫌いか判断付きかねます。70%がシングルモルト、30%がシングルポット (麦芽と麦芽になっていない大麦を混ぜたもの) から作ったブレンド・ウイスキーだそうです。

 

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ツアーの所要時間は 30 分ほど。ちょうどいい長さです。ガイドさんの語りがメインのアトラクションなので、ある程度の英語力が必要かもしれません。ショップやバーも併設されています。

 

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旧ジェムソン蒸留所のチムニー

蒸留所
07 /25 2020

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旧ジェムソン蒸留所のチムニーには登ることができます。このチムニーは20年ほど前に展望台に改造されて一般利用できていたのですが、安全上の理由だかなんだかですぐに閉鎖されました。残念ながらそのとき私は登りそびれました。

 

それが、一昨年ぐらいに再オープンしたのです。隣に Generator というホステルがあるのですが、そこの所有だか管理になったようです。ホステルの受け付けに行って 5 ユーロ払うと、下の写真の扉を開けてくれます。

 

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以前はエレベーターで昇ることができたのですが、現在は使用停止なのでらせん階段を登るしかありません。全部で244段。これはけっこうしんどいです。

 

展望台はこんな感じです。これが 2 層になっています。


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展望台から東を望んだのがこちらの写真。去年の7月ごろの写真になります。中央左にオコネル・ストリートのスパイア。中央右にプールベグ発電所のツイン煙突が見えます。


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展望台から北を望んだのがこちらの写真。フィブスボロのある方角です。


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展望台から西を望んだのがこちらの写真。奥の緑はフェニックス・パーク。右側にはストーニーバターのコテージの屋根が並んでいるのが見えます。


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展望台から南を望んだのがこちらの写真。手前の工事現場は、以前私が事務所を借りていた建物 (この建物ももともとはジェムソンの所有だった) が更地になったところ。中央に見える尖塔はセント・パトリック・チャーチのものだと思う。

 

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スミスフィールド・スクエアの南半分を上から見るとこんな感じ。


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ダブリンはあまり高い建物がないので街の全景が 360 度でほんとによく見えます。登っている人はあまりいないみたいなので、高いところで1人なりたいときに最適です。ただ、階段はしんどいので、くれぐれもお気をつけください。あと、BGMが中途半端に昔のロックミュージックなのは難点です。ヒューマンリーグとかです。

 

おまけの写真。20192月のダブリン映画祭の宣伝のためにライトアップされたチムニーです。


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ジェムソン蒸留所ボウ・ストリートの見学ツアー

蒸留所
07 /24 2020

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ダブリンのスミスフィールドにあるジェムソン蒸留所は、ボウ・ストリート蒸留所として1780年に誕生しました。統括マネージャーだったジョン・ジェムソンがオーナーシップを握ったのが1805年。1810年には正式にジョン・ジェムソン&サンズ・ボウ・ストリート蒸留所 (John Jameson & Son’s Bow Street Distillery) に改称されました。


 

19世紀後半の最盛期には、敷地の中に鍛冶屋、樽職人、木工所、技術者、塗装屋、大工などが店を構え、「街の中の街」と呼ばれていたそうです。


 

20世紀前半のアイリッシュ・ウイスキー産業全体の衰退を受け、生き残りの策として、ジェムソンはジョン・パワー蒸留所およびコーク蒸留所と合併して1966年にアイリッシュ・ディスティラーズ社を設立。1971年にジェムソンのボウ・ストリート蒸留所は閉鎖されました。


 

博物館として生まれ変わったのは1997年のこと。ダブリンの人気観光施設となります。2016年から17年にかけて7か月間休業し、1,100万ユーロを費やして改装。その直後の1年間だけで35万人がここを訪れています。



ちなみに、改装にあたって設計を担当したのは、カリフォルニアにあるBRC イマジネーション・アーツという会社です。この会社は、ダブリンのギネス博物館、アムステルダムのハイネケン博物館、アトランタのコカ・コーラ博物館などを設計した経験もあります。


 

改装前はオールド・ジェムソン蒸留所 (Old Jameson Distillery) と言っていたのですが、再オープンしてからは、ジェムソン蒸留所ボウ・ストリート (Jameson Distillery Bow Street) が正式名称となっています。


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 ちなみにジェムソンの正式な表記は「ジェイムソン」ではなく「ジェムソン」です。輸入元のペルノ・リカール・ジャパンも「ジェムソン」と表記していますし、サントリーさんが輸入元だった頃もそうでした。実は、英語でも「ジェイムソン」と読むのではなく、「ジェムソン」という発音にこだわっています。以前ツアーに参加したときに、アメリカ人のお客さんがガイドさんに「ジェイムソンとジェムソンとどっち?」みたいな質問していて、ガイドさんがそんな風に答えていました。



このミュージアムは私のアパートから歩いて2分の場所にあり、私は改装前に2 回、再オープンしてから2回行ったことがあるのですが、20192月に行ったときの様子を今日は書いてみたいと思います。



既に書いたように、この施設は1970年代に蒸留所としての役目は終えており、ここでウイスキーは製造されていません。したがって現在は純粋に観光客向けのミュージアムということになります。ダブリンにはティーリング蒸留所やピアース・ライオンズ蒸留所など、稼働している製造工程を見学できるところもあります。しかし、いかめしい当時の建物がそのまま使われているジェムソン蒸留所ボウ・ストリートは、ダブリンのウイスキー作りの伝統を体感するには最適の場所かもしれません。大きな煙突なんかもそのまま残っていますし。


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さて、見学ツアーですが、15分ごとのスタートとなります。土曜の午後だったのですが、ほぼ待つことなく参加することができました。1回のツアーの参加者は30人くらい。アメリカやヨーロッパからの旅行者が主ですが、アイルランド人ももちろんいます。

 


最初に入った場所にはジェムソン・ウイスキーの歴史がパネル展示されています。ただし、ここはガイドさんが来るのを待つための部屋らしくて、ガイドさんがすぐに来たのでパネルを読む時間はほとんどありませんでした。ガイドさんは、ざっくばらんな語り口が持ち味のアイリッシュのお兄さんです。


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ガイドさんに導かれて次の部屋に入ります。ここからがツアーとなるので、ここが最初の部屋ということにさせていただきます。ここでは映像を見ながらジェムソンの歴史を学ぶのですが、新しいなと思ったのは、お客さんが囲んだ中央のテーブルに映像が映し出されるのです。映画館みたいに前の画面を見るよりも、ずっと親密な感じがします。


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次の部屋では、前面のパネルでウスキーの製造工程を学びつつ、テーブルにある仕掛けでいろいろインタラクティブに遊べます。バーボンのバレルとシェリーのバレルの香りを嗅いだり、発芽した(Malted)大麦を味わったり (Unmaltedの大麦は固いので食べたらダメ!)、ポットスティルとコラムスティルで蒸留したウィスキーの香りを比べたりとかです。


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3の部屋はいよいよウスキーの飲み比べです。ジェムソン・ウスキー、スコッチ・ウスキー、バーボン・ウスキーをティスティングします。ジェムソンはまろやか、スコッチは煙くさい、バーボンはスパイシーみたいな。


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ツアーは以上ですが、チケットの半券をバーに持っていくと、1杯無料で飲むことができます。私はソーダ割りをいただきました。


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ここはほんとうによく考えられた観光アトラクションだなあというのが私の感想です。所要時間は40分。歴史・製造法・ティスティングの3部構成でコンパクトにまとめられていて、間延びするところがありません。これには、ストーリーテラーと呼ぶにふさわしいガイドさんの話術も大きく貢献していると思います。照明などの雰囲気づくりも抜かりありません。所要時間は40分で、短いと思われるかもしれませんが、物足りない感じはしません。

 

これって、時間がかかり過ぎてもよくないと思うんですね。観光客はほかの観光地もいろいろ回りたいわけで、ジェムソンが終わったらギネス博物館行って、ケルズの書も見たいしなんて思っているわけですから。長居したければ、1階のバーでゆっくりすることもできます。


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入場料は22ユーロ(学生と65歳以上は18ユーロ)。私はちょうどいいお値段だと思います。もちろんジェムソンの企業イメージ向上・商品プロモーションという一面もあるわけですが、観光地である以上、きっちりお金をとって、内容も充実させる、というのが正しい観光施設の在り方だと思うわけです。そうしないと、いくらインバウンドで海外から人がきても、経済的効果につながらないということになりますから。

 

私は日本の蒸留所の見学ツアーもいくつか参加させていただいたことがあるのですが、サントリーさんは1000円。ニッカさんとキリンさんは無料でした (20181月のこと)。工場見学がメインの目的とはいえ、ガイドさんもいて、ビデオや展示も用意されているのですから、最低でも1500円ぐらいは取ってもいいのではないかなと個人的には思いました。


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上の写真の左手に見えるのがジェムソンの煙突です。20年ほど前にてっぺんに展望台を作り、観光客がダブリンのパノラマビューを楽しめるようにしたのですが、安全性の問題から数年で閉鎖されてしまいました。ところが、23年ほど前からでしょうか、また登れるようになったのです。次の記事で、この煙突に登ったときの話を書きたいと思います。

 

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キルベガン蒸留所の見学ツアー

蒸留所
07 /02 2020

キルベガン (Kilbeggan) は、ダブリンから西に車を 1 時間ほど走らせたところにある、ウェストミーズ県の小さな町です。競馬場とウイスキーの蒸留所があります。

 

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このキルベガン蒸留所は、1757年にマシュー・マクマナスという男によって設立されました。蒸留を許可するライセンスもイギリス国王からこの年に発行されています。これが、ライセンスを受けた現存する世界最古のウイスキー蒸留所はウチですよ、とキルベガン蒸留所が主張する理由です。

 

争いになるのはブッシュミルズ蒸留所ですが、あちらは蒸留所を作った会社ができたのは1784年。どうもそれ以前のことははっきりわからないらしいんですね。ただし、ウイスキー蒸留許可が現地の土地所有者に1608年に発行されているのは確かなので、そこを設立年としているようです。

 

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私は 2016年の11月頃、キルベガン蒸留所の見学ツアーに参加しました。そのときの様子は後でご紹介するとして、まずこの蒸留所の歴史についてまとめてみます。

 

 

マクマナスによって設立されたこの蒸留所は、ジョン・コッド、ウイリアム・コッドなど、何人かの手を経た後、1843年にジョン・ロックという男に買収され、ロックス蒸留所として生まれ変わります。この蒸留所が花開いたのはこの時期。ロックの経営手腕によるところが大きいようです。

 

ジョン・ロックは面倒見のいい雇い主だったようで、従業員に住宅を提供したり、冬の初めには後払いで一冬分の石炭を配ったりしていました。また、土地を持たない従業員のために、蒸留所の裏手の土地を年間使用料5ポンドで開放し、牛を放し飼いできるようにしていたそうです。

 

そうしたこともあってか、街の人の評判もよく、1866年にボイラーが修理不能になるほど壊れたときは、街の人々がお金を出し合い、新しいボイラーを蒸留所にプレゼントしました。

 

しかし、20世紀に入ると、アイルランドの他の蒸留所と同様に、衰退の道を辿り始めます。原因は、別の記事でも書きましたが、アイルランドが独立したことにより大英帝国の市場を失ったこと、世界大戦で出荷が滞ったこと、輸出先のアメリカで禁酒法が制定されたこと、スコッチ・ウイスキーとの競争の激化などです。

 

アメリカでは禁酒法時代に質の悪い密造酒をなぜかロック・ウイスキーの瓶に詰めて販売することが多かったようで、禁酒法が終わって輸出を再開した後も、失った評判を取り戻すことができなかったようです。

 

1947年には、蒸留所はジョン・ロックの孫娘2人が経営していたのですが、そろそろ潮時だと言うことで売りに出したところ、詐欺事件に巻き込まれます。これにはフィアナ・フォイル党 (アイルランドの二大政党の1) の政治家もからんでいたということで大スキャンダルになり、次の選挙でフィアナ・フォイル党は敗けてしまうことになります。

 

その後、1954年まで蒸留を続けた後、1957年には遂に蒸留所の約 200年の歴史にいったん幕が下ろされることになりました。

 

1982年になって、キルベガンの町の人々が資金を募り、蒸留所をリストアしてウイスキー蒸留所博物館としてオープンしました。1987年にはジョン・ティーリングのクーリー蒸留所がキルベガン蒸留所を購入。キルベガン・ブランドとロックス・ブランドのウイスキーを販売する権利を手にします。

 

実は私は博物館だったころのキルベガン蒸留所を友人と訪れたことがあります。その頃はあまりウイスキーにも興味がなかったし、ブログも書いていなかったので、写真も残ってないし、メモも取ってないんですよね。残念です。

 

蒸留所の設立から250周年となる2007年、キルベガンでのウイスキー蒸留が再開されます。ポット・スティルを初めて始動させる式典には、マクマナス家、コッド家、ロック家の直系の子孫も招かれました。2つあるポット・スティルのうち1つは、19世紀の初め頃にタラモア蒸留所で使用されていたもので、現役としては最古のものになるそうです。

 

歴史の話が長くなってしまいました。それでは、見学ツアーに参加したときの様子を写真を交えながらご紹介します。

 

 

この蒸留所見学の凄いところは、実際に稼働している蒸留施設だけでなく、昔の古い蒸留設備が動く状態で残っていて、見学者はそれを見て回れることです。

 

薄暗い昔の蒸留施設に迷い込むと、床下を流れる水の音が聞こえ (動力である水車を回すのに必要ですから)、歯車がトクトクという控えめな音を立てて動いています。

 

中の様子を写真でご紹介します。どれが何の写真なのか、実はあまり記憶に残っていないのです。詳しく説明できなくてすみません。


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発酵装置

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これはコラム・スティル (連続式蒸留器)↓

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これはポット・スティル (単式蒸留器)↓

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こちらが実際に稼働している蒸留装置の写真です。


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キルベガン蒸留所とクーリー蒸留所は 2012 年にジム・ビームで有名なビーム社に買収され、そのビーム社は 2014 年にサントリーに買収されました。だから、この蒸留所とその製品は、いまはサントリーが所有権を持っています。

 

古い蒸留施設の中を見て回るのは、ちょっと他ではできない体験だと思います。見学料は試飲付きで 14 ユーロでした。3年半前に訪れたので、記憶があいまいであまり詳しく書けませんでした。また、機会があればもう一度訪れてみたいと思います。


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(一番上の写真と一番下の写真 by Whisky Lover) 


公式Webサイト

www.kilbegganwhiskey.com

参考資料

http://www.classicwhiskey.com/distilleries/lockes.htm

 

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ブッシュミルズ蒸留所の見学ツアー

蒸留所
06 /28 2020

昨年の6月のはじめに、北アイルランドのブッシュミルズ蒸留所に行ってきました。今回は、そのときの様子を書きます。

 

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私の住むダブリンから北アイルランドの首都であるベルファストまでは車で2時間半ほど。このくらいの距離だと日帰りは苦になりません。しかし、ブッシュミルズ蒸留所があるブッシュミルズの町までは、ベルファストからさらに1時間半ほど車を走らせたところにあります。


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ちょっときついかな、とも思ったのですが、思い切って車で行ってきました。車で遠出するときは、私はだいたいあいみょんを聞いています。道は整備されているので、その点は安心です。

 

ダブリンから北アイルランドに行くということは、国境を超えるということになるのですが、検問などはありません。ブレグジットの後も、検問等はない方向性で進んでいるようです。いちおうパスポートは携行しました。

 

この蒸留所は正式にはオールド・ブッシュミルズ蒸留所 (Old Bushmills Distillery) といいます。ミドルトン蒸留所やジェムソンのボウ・ストリート蒸留所など、Old がつくと現在は稼働していない蒸留所のことを指すことが多いのですが、ここはもちろん稼働中です。

 

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ここの蒸留所見学の良いところは、アイルランドの大手の蒸留所の中で唯一、実際に稼働している製造過程が見られることです。逆に、残念なことは、見学中の写真は一切禁止だということです。産業スパイ的なものを警戒しているのかもしれませんね。

 

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私が参加したのは朝の11時の回でしたが、国際色豊かな15人ほどお客さんが集まりました。ガイドはテリーさんという40代くらいの男性。

 

紹介ビデオとかはなくて、いきなり仕込み (糖化) の現場から始まります。以前使っていた銅製のマッシュタン (糖化のための容器) を、内部が見えるように真っ二つに割って展示しています。現在、実際に使用されているものはステンレス製なんですね。

 

イーストを加えて発酵させる工程を経て、蒸留器が置いてあるエリアへ。ブッシュミルズ蒸留所にはポットスティル (単式蒸留器) 10 個もあります。

 

次の工程である貯蔵 (熟成) については実際の貯蔵現場ではなくて、見本の樽を使っての説明です。

 

次は半自動システムでウイスキーを樽に詰める作業。いくつも蒸留所の見学に行きましたが、この工程は見たことがなかった。

 

そして、ビンにラベルを貼って箱詰めする作業。ここはほぼ完全に自動化されています。

 

このツアーでは定番のテースティングはなくて、9 ポンドの料金の中に最後のウイスキー 1 杯が含まれています。残念ながら私は車でしたので、コーラを飲みました。

 

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所要時間は 40 分ぐらい。このくらいがちょうどいい長さかもしれません。

 

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私が行ったのはアイルランド共和国が3連休の月曜日。だいたいイギリスとアイルランドの祝日は同じ日なのですが、6月の最初の月曜だけは、アイルランドは祝日だけど、北アイルランドは祝日じゃないのです。ブッシュミルズ蒸留所には 10 年ほど前にも行ったことがあるのですが、そのときは日曜だったからか箱詰めの工程の機械が止まってたんですね。今回は全部見れてよかったです。

 

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ブッシュミルズ蒸留所は、一時期はジェムソンのオーナーでもあるアイリッシュ・ディスティラーズ社が所有していたのですが、2005年にディアジオ社に売却され、その後、2014年からはメキシコのテキーラ製造大手であるホセ・クエルボ社が親会社となっています。

 

この蒸留所を作った会社が設立されたのは1784年なのですが、ブッシュミルズのラベルには1608という数字が書かれています。これは、ウイスキーを蒸留するライセンスがこの町の土地所有者にイギリス国王から与えられたのが1608年だからだそうです。

 

このあたりが、いつもキルベガン蒸留所と論争になるのですよね。現在はビーム・サントリー社が所有するキルベガン蒸留所は、1757年に蒸留所あてにライセンスをもらっています。そういう意味ではキルベガン蒸留所の方が早いわけです。

 

ちなみに、北アイルランドでは市中銀行がそれぞれ独自の紙幣を発行することができます。去年の6月の段階では、バンク・オブ・イングランドの紙幣を含め、5種類の紙幣が流通していました。その中のファースト・トラスト銀行は紙幣の発行をとりやめたようですので、この銀行のものはあまり見かけなくなっているかもしれません。

 

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その中で、バンク・オブ・アイルランドという銀行が発行する紙幣の裏面には、このブッシュミルズ蒸留所が描かれています。

 

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ブッシュミルズ蒸留所の近くには世界遺産のジャイアンツ・コーズウェイもありますので、観光の際にはそちらにも足を伸ばしてはいかがでしょうか。


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この日、私はジャイアンツ・コーズウェイを訪れた後、ウナギ漁で有名なトゥームの町に立ち寄ってからダブリンへと帰りました。

 

そのときの様子も当時、別のブログに書きましたので、よろしければご覧ください。

 

世界遺産・ジャイアンツ・コーズウェイと六角柱の郵便ポスト

ウナギ漁で有名なトゥームの村に行ってきました


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tarafuku10

アイルランド・ダブリン在住。男性。