キルベガン蒸留所の見学ツアー

蒸留所
07 /02 2020

キルベガン (Kilbeggan) は、ダブリンから西に車を 1 時間ほど走らせたところにある、ウェストミーズ県の小さな町です。競馬場とウイスキーの蒸留所があります。

 

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このキルベガン蒸留所は、1757年にマシュー・マクマナスという男によって設立されました。蒸留を許可するライセンスもイギリス国王からこの年に発行されています。これが、ライセンスを受けた現存する世界最古のウイスキー蒸留所はウチですよ、とキルベガン蒸留所が主張する理由です。

 

争いになるのはブッシュミルズ蒸留所ですが、あちらは蒸留所を作った会社ができたのは1784年。どうもそれ以前のことははっきりわからないらしいんですね。ただし、ウイスキー蒸留許可が現地の土地所有者に1608年に発行されているのは確かなので、そこを設立年としているようです。

 

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私は 2016年の11月頃、キルベガン蒸留所の見学ツアーに参加しました。そのときの様子は後でご紹介するとして、まずこの蒸留所の歴史についてまとめてみます。

 

 

マクマナスによって設立されたこの蒸留所は、ジョン・コッド、ウイリアム・コッドなど、何人かの手を経た後、1843年にジョン・ロックという男に買収され、ロックス蒸留所として生まれ変わります。この蒸留所が花開いたのはこの時期。ロックの経営手腕によるところが大きいようです。

 

ジョン・ロックは面倒見のいい雇い主だったようで、従業員に住宅を提供したり、冬の初めには後払いで一冬分の石炭を配ったりしていました。また、土地を持たない従業員のために、蒸留所の裏手の土地を年間使用料5ポンドで開放し、牛を放し飼いできるようにしていたそうです。

 

そうしたこともあってか、街の人の評判もよく、1866年にボイラーが修理不能になるほど壊れたときは、街の人々がお金を出し合い、新しいボイラーを蒸留所にプレゼントしました。

 

しかし、20世紀に入ると、アイルランドの他の蒸留所と同様に、衰退の道を辿り始めます。原因は、別の記事でも書きましたが、アイルランドが独立したことにより大英帝国の市場を失ったこと、世界大戦で出荷が滞ったこと、輸出先のアメリカで禁酒法が制定されたこと、スコッチ・ウイスキーとの競争の激化などです。

 

アメリカでは禁酒法時代に質の悪い密造酒をなぜかロック・ウイスキーの瓶に詰めて販売することが多かったようで、禁酒法が終わって輸出を再開した後も、失った評判を取り戻すことができなかったようです。

 

1947年には、蒸留所はジョン・ロックの孫娘2人が経営していたのですが、そろそろ潮時だと言うことで売りに出したところ、詐欺事件に巻き込まれます。これにはフィアナ・フォイル党 (アイルランドの二大政党の1) の政治家もからんでいたということで大スキャンダルになり、次の選挙でフィアナ・フォイル党は敗けてしまうことになります。

 

その後、1954年まで蒸留を続けた後、1957年には遂に蒸留所の約 200年の歴史にいったん幕が下ろされることになりました。

 

1982年になって、キルベガンの町の人々が資金を募り、蒸留所をリストアしてウイスキー蒸留所博物館としてオープンしました。1987年にはジョン・ティーリングのクーリー蒸留所がキルベガン蒸留所を購入。キルベガン・ブランドとロックス・ブランドのウイスキーを販売する権利を手にします。

 

実は私は博物館だったころのキルベガン蒸留所を友人と訪れたことがあります。その頃はあまりウイスキーにも興味がなかったし、ブログも書いていなかったので、写真も残ってないし、メモも取ってないんですよね。残念です。

 

蒸留所の設立から250周年となる2007年、キルベガンでのウイスキー蒸留が再開されます。ポット・スティルを初めて始動させる式典には、マクマナス家、コッド家、ロック家の直系の子孫も招かれました。2つあるポット・スティルのうち1つは、19世紀の初め頃にタラモア蒸留所で使用されていたもので、現役としては最古のものになるそうです。

 

歴史の話が長くなってしまいました。それでは、見学ツアーに参加したときの様子を写真を交えながらご紹介します。

 

 

この蒸留所見学の凄いところは、実際に稼働している蒸留施設だけでなく、昔の古い蒸留設備が動く状態で残っていて、見学者はそれを見て回れることです。

 

薄暗い昔の蒸留施設に迷い込むと、床下を流れる水の音が聞こえ (動力である水車を回すのに必要ですから)、歯車がトクトクという控えめな音を立てて動いています。

 

中の様子を写真でご紹介します。どれが何の写真なのか、実はあまり記憶に残っていないのです。詳しく説明できなくてすみません。


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発酵装置

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これはコラム・スティル (連続式蒸留器)↓

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これはポット・スティル (単式蒸留器)↓

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こちらが実際に稼働している蒸留装置の写真です。


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キルベガン蒸留所とクーリー蒸留所は 2012 年にジム・ビームで有名なビーム社に買収され、そのビーム社は 2014 年にサントリーに買収されました。だから、この蒸留所とその製品は、いまはサントリーが所有権を持っています。

 

古い蒸留施設の中を見て回るのは、ちょっと他ではできない体験だと思います。見学料は試飲付きで 14 ユーロでした。3年半前に訪れたので、記憶があいまいであまり詳しく書けませんでした。また、機会があればもう一度訪れてみたいと思います。


450px-Kilbeggan_Distillery_Whisky.jpg

(一番上の写真と一番下の写真 by Whisky Lover) 


公式Webサイト

www.kilbegganwhiskey.com

参考資料

http://www.classicwhiskey.com/distilleries/lockes.htm

 

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ブッシュミルズ蒸留所の見学ツアー

蒸留所
06 /28 2020

昨年の6月のはじめに、北アイルランドのブッシュミルズ蒸留所に行ってきました。今回は、そのときの様子を書きます。

 

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私の住むダブリンから北アイルランドの首都であるベルファストまでは車で2時間半ほど。このくらいの距離だと日帰りは苦になりません。しかし、ブッシュミルズ蒸留所があるブッシュミルズの町までは、ベルファストからさらに1時間半ほど車を走らせたところにあります。


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ちょっときついかな、とも思ったのですが、思い切って車で行ってきました。車で遠出するときは、私はだいたいあいみょんを聞いています。道は整備されているので、その点は安心です。

 

ダブリンから北アイルランドに行くということは、国境を超えるということになるのですが、検問などはありません。ブレグジットの後も、検問等はない方向性で進んでいるようです。いちおうパスポートは携行しました。

 

この蒸留所は正式にはオールド・ブッシュミルズ蒸留所 (Old Bushmills Distillery) といいます。ミドルトン蒸留所やジェムソンのボウ・ストリート蒸留所など、Old がつくと現在は稼働していない蒸留所のことを指すことが多いのですが、ここはもちろん稼働中です。

 

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ここの蒸留所見学の良いところは、アイルランドの大手の蒸留所の中で唯一、実際に稼働している製造過程が見られることです。逆に、残念なことは、見学中の写真は一切禁止だということです。産業スパイ的なものを警戒しているのかもしれませんね。

 

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私が参加したのは朝の11時の回でしたが、国際色豊かな15人ほどお客さんが集まりました。ガイドはテリーさんという40代くらいの男性。

 

紹介ビデオとかはなくて、いきなり仕込み (糖化) の現場から始まります。以前使っていた銅製のマッシュタン (糖化のための容器) を、内部が見えるように真っ二つに割って展示しています。現在、実際に使用されているものはステンレス製なんですね。

 

イーストを加えて発酵させる工程を経て、蒸留器が置いてあるエリアへ。ブッシュミルズ蒸留所にはポットスティル (単式蒸留器) 10 個もあります。

 

次の工程である貯蔵 (熟成) については実際の貯蔵現場ではなくて、見本の樽を使っての説明です。

 

次は半自動システムでウイスキーを樽に詰める作業。いくつも蒸留所の見学に行きましたが、この工程は見たことがなかった。

 

そして、ビンにラベルを貼って箱詰めする作業。ここはほぼ完全に自動化されています。

 

このツアーでは定番のテースティングはなくて、9 ポンドの料金の中に最後のウイスキー 1 杯が含まれています。残念ながら私は車でしたので、コーラを飲みました。

 

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所要時間は 40 分ぐらい。このくらいがちょうどいい長さかもしれません。

 

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私が行ったのはアイルランド共和国が3連休の月曜日。だいたいイギリスとアイルランドの祝日は同じ日なのですが、6月の最初の月曜だけは、アイルランドは祝日だけど、北アイルランドは祝日じゃないのです。ブッシュミルズ蒸留所には 10 年ほど前にも行ったことがあるのですが、そのときは日曜だったからか箱詰めの工程の機械が止まってたんですね。今回は全部見れてよかったです。

 

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ブッシュミルズ蒸留所は、一時期はジェムソンのオーナーでもあるアイリッシュ・ディスティラーズ社が所有していたのですが、2005年にディアジオ社に売却され、その後、2014年からはメキシコのテキーラ製造大手であるホセ・クエルボ社が親会社となっています。

 

この蒸留所を作った会社が設立されたのは1784年なのですが、ブッシュミルズのラベルには1608という数字が書かれています。これは、ウイスキーを蒸留するライセンスがこの町の土地所有者にイギリス国王から与えられたのが1608年だからだそうです。

 

このあたりが、いつもキルベガン蒸留所と論争になるのですよね。現在はビーム・サントリー社が所有するキルベガン蒸留所は、1757年に蒸留所あてにライセンスをもらっています。そういう意味ではキルベガン蒸留所の方が早いわけです。

 

ちなみに、北アイルランドでは市中銀行がそれぞれ独自の紙幣を発行することができます。去年の6月の段階では、バンク・オブ・イングランドの紙幣を含め、5種類の紙幣が流通していました。その中のファースト・トラスト銀行は紙幣の発行をとりやめたようですので、この銀行のものはあまり見かけなくなっているかもしれません。

 

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その中で、バンク・オブ・アイルランドという銀行が発行する紙幣の裏面には、このブッシュミルズ蒸留所が描かれています。

 

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ブッシュミルズ蒸留所の近くには世界遺産のジャイアンツ・コーズウェイもありますので、観光の際にはそちらにも足を伸ばしてはいかがでしょうか。


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この日、私はジャイアンツ・コーズウェイを訪れた後、ウナギ漁で有名なトゥームの町に立ち寄ってからダブリンへと帰りました。

 

そのときの様子も当時、別のブログに書きましたので、よろしければご覧ください。

 

世界遺産・ジャイアンツ・コーズウェイと六角柱の郵便ポスト

ウナギ漁で有名なトゥームの村に行ってきました


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旧ミドルトン蒸留所の見学ツアー

蒸留所
05 /23 2020

20192月、もう1年以上前のことになりますが、コーク県ミドルトンにあるジェムソンの蒸留所を見学に行ってきました。テイスティングでウイスキーも飲むだろうし、ということで、ほんとうに久しぶりに鉄道を使って日帰り旅行をしたのです。そのときのことを、ロードトリップ風に書いていきたいと思います。


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217日の朝、徒歩でダブリン・ヒューストン駅へ向かいます。私のウチから歩いて10分ほどです。


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コーク・ケント駅行き9時発の列車に乗りました。

 

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前日にネットで予約したのですが、予約のときに名前を登録します。列車に乗ると、窓の上の座席番号を書いてあるところに小さいLEDディスプレイがあって、そこに名前が表示されているのです。これは、びっくりしました。

列車の中ではのんびり本を読みました。ウエルベックの『地図と領土』です。この小説、作者のウエルベック自身が作中に登場するんですが、アイルランドに住んでいる設定になっているんですよね。

 

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1130分ごろコークのターミナル駅であるケント駅に着きました。私はこの駅でも1つ見たいものがありました。郵便ポストです。

 

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この郵便ポストは珍しく、差し出し口が上を向いているんです。これでは室内にしか置けませんね。製造されたのが18571859年というのですから、もう160歳を超えて現役です。

 

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駅の構内には古い機関車も展示されていました。

 

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駅の売店でスコーンを買って昼食としたあと、いよいよミドルトン行きの電車に乗ります。今度は見るからに近距離用の電車ですね。

 

ミドルトンまでは電車で25分。ミドルトンの町を歩いて、道に迷わなければ20分ほどでミドルトン蒸留所につきます。

 

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ミドルトンはアイルランド第二の都市であるコークの衛星都市といっていいでしょう。ここからコークに通勤している人も多いはずです。


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さて、いよいよ蒸留所に到着しました。


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旧ミドルトン蒸留所は、もともとは毛織工場であり、それが兵舎になったあと、1825年に蒸留所として生まれ変わりました。実際に稼働したのは1975年まで。新しい蒸留所が隣に建設されたので、この施設はお役御免となったのです。1992年に博物館的なビジター・センターとしてオープンしました。現在の正式名称は “Jameson Experience, Midleton”。俗に “Old Midleton Distillery” などとも呼ばれます。毎年約10万人の観光客がここを訪れるそうです。


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この蒸留所の元々のオーナーはコーク・ディスティラリーズ社です。この会社は、今も販売されているパディー (Paddy) というウイスキーやコーク・ドライ・ジン (Cork Dry Gin) というジンを作っていました。


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ご存じの方も多いと思いますが、20世紀に入ってからアイリッシュ・ウィスキーは退潮の一途。それに歯止めをかけるため、コーク・ディスティラリーズ、ジェムソン、ジョン・パワーの3社が1966年に合併してアイリッシュ・ディスティラーズ社という会社を作り、このミドルトンを生産の本拠地としたわけです。

アイリッシュ・ディスティラーズ社は大企業だけあって、敷地は広いですね。北アイルランドのブッシュミルズよりも大きいと思う。新興のマイクロ蒸留所の比ではありません。


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ロビーで待機した後、ツアー出発です。日曜日ということもあってか見学者は30人ほどの大人数。国際色も豊かです。


ビデオを見せてもらった後、旧蒸留所の建物の中に入ります。非常に古い造りのまま保存されていて、1970年代まで使用されていたというのがちょっと信じられないほどです。


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こちらの大きな建物は、原料である大麦の貯蔵庫として使用されていたようです。


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動力源である水車。この蒸留所は、ダンガーニー川という川のほとりにあります。


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今は使用されていないポットスティル (蒸留器)


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ポットスティルとカラム (コフィ―/連続式)スティルの原理を説明する図。


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ツアーの途中で、稼働している新蒸留所の姿を見ることもできます。手前の古い小屋の後ろに見える近代的な建物がそれです。


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この旧蒸留所は稼働していないと書きましたけど、実は小規模の蒸留施設が設置されているんですね。ここでは研究・実験のために利用しているようです。


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それからこちらは樽職人の作業場だったところです。

 

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お役御免になった古い設備が庭に飾ってあったりします。


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すぐ上の写真に「Worm Tub」と書いてありますが、これは直訳すると「虫の桶」となります。もちろん生きている虫が入っているわけではありません。ポットスティルで蒸留されたアルコールを冷まして液体にするために曲がりくねった管を通すのですが、その管が虫のように見えることから「Worm Tub」と言うようです。

 

ちなみに、ジェイムズ・ジョイスの作品に『ダブリン市民』という短編集がありますが、その最初の短編である「姉妹」の冒頭に、ウイスキーの製造過程を語る文脈で「faints and worm」という言葉が出てきます。「faints」の方は、蒸留した後に残る不純アルコールのことです。


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(今回の記事は別のブログに書いたものを少し修正して転載しています。私は何の気なしに Worm Tub の写真をアップしていたのですが、読者のおひとりにコメント欄で Worm Tub のことをご指摘いただき、あらためて『ダブリン市民』の話を思いだしたのでした。ありがとうございました)


そして最後はお楽しみのテイスティングですね。車じゃないので心おきなく飲めます。

 

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今回のツアーで一番驚いたのは、パディー・ウイスキーがアメリカの会社に売却されたという情報を聞いたことです。パディー・ウイスキーはこの蒸留所の主力商品だったわけですから。ガイドさんの説明では、たまたまこのツアーの翌日が所有権の移る日だと聞いたと思ったんだけど、今Wikipedia を見ると2016年ということになっています。2016年に交渉が成立して、実際に移行したのが2019年ということでしょうか。


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(Paddy ミニボトル)


鉄道の旅は時間が列車の時刻表に縛られるという難点はありますが、本を読んだり、車窓から景色を眺めたりしながら、のんびりと旅ができるのがいいですね。


今回、私は日帰りでしたが、週末に1泊旅行でコーク市内やコーブの街などを見て回るのもいいのではないでしょうか。


さて、ミドルトンは小さな町ですが、和食屋が2軒ほどありました。そのうちの1軒、Ramenという店に入り、Japanese Udon Noodles というのを食べました。チキン入りで12.95ユーロ。焼うどんですね。


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ソフトクリームがもれなくついてきます。カップだけもらってセルフサービスで盛るのです。不器用な私ですが、わりと上手にできました。

 

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ツアーの所要時間は75分間ほど。20203月現在の料金は23ユーロです。48ユーロでプレミアム・テイスティング・ツアーというのもあるようです。(5月現在、コロナウイルスの影響で休業中です)


ジェムソン・ミドルトン蒸留所公式 Web サイト


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ロウ&コ蒸留所

蒸留所
05 /15 2020
2019年の夏の終わりにオープンしたロウ&(Roe & Co Distillery) 蒸留所は、リバティーズ地区で操業する4番目の蒸留所となりました。

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ロウ&コ蒸留所は、ディアジオ社が親会社です。ご存じのようにディアジオ社は、アイルランドのビール会社であるギネスと、イギリスのグランド・メトロポリタン社との合併により1997年に生まれた会社です。ディアジオ社は、スミノフ、ジョニー・ウォーカー、ベイリーズ、そしてもちろんギネスなどのブランドを所有しています。

 

合併に先立つ1986年、ギネス社はスコッチ・ウイスキーの代表的メーカーであったザ・ディスティラーズ社を買収しています。したがって、ディアジオ社は数多くのスコッチ・ウイスキーのブランドを所有しているのです。例をあげれば、ジョニー・ウォーカーのほか、ベルズ、ブラック&ホワイト、ブキャナンズ、オールド・パー、ヘイグ、ホワイト・ホース、タリスカーなどです。

 

巨大アルコール飲料企業であるディアジオは、バーボン (IWハーパー)、カナディアン・ウイスキー (クラウン・ロイヤル)などのブランドも傘下に収めていました。ところがアイリッシュ・ウイスキーのブランドはまったく持っていなかったのです。そこで、アイリッシュ・ウイスキーもポートフォリオに加えたい、と思ったのがロウ&コ蒸留所を作った1つの理由ではないかと思います。

 

また、歴史のある有名ブランドが古臭いと感じる人が多くなっているようで、ビールでもクラフト・ビールの人気が高まっています。ギネスでも、ホップ・ハウス13、ギネス・ウェスト・インディーズ・ポーターなど、クラフト・ビール風の製品をプロデュースし、コマーシャルなどにもかなりの予算を使っています。同様に、ウイスキーに関しても、マイクロ・ディスティラリ―に投資することで、若々しくてチャレンジ精神旺盛なイメージを打ち出したかったというのもあるのでは、と私は思っています。


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ロウ&コ蒸留所は、ギネスビール工場/ビジター・センターのすぐそばにあります。また、ピアース・ライオンズ蒸留所も目と鼻の先です。蒸留所の建物は、もともとはトーマス・ストリート蒸留所の一部でした。1800年代後半の全盛期にはダブリン最大の生産量を誇った蒸留所だったのですが、残念ながら1920年代に財政難から操業をストップしてしまいました。

 

ギネスに譲渡されたこの建物は、ギネス工場用の発電所としてしばらく使用されました。その務めを終えたあと、しばらく廃屋になっていたのですが、ディアジオが2,500万ユーロを投資したことにより、蒸留所として生まれ変わったのです。

 

蒸留所ができてすぐの20199月に私はさっそく蒸留所見学ツアーに参加してきましたので、そのときの様子をご紹介したいと思います。

 

25ユーロでチケットを買い、ショップ兼バー/カフェみたいなスペースで時間が来るまで待ちます。


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平日ということもあってか、私以外の見学者は8人ほど。全員がアイルランド人でした。2階に上る階段のところでガイドさんの説明を聞きます。下の写真にあるように、階段の壁にはアイリッシュ・ウイスキーの歴史が書いてあります。


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次は渡り廊下の上から、実際に稼働している蒸留過程を見ることができます。アイリッシュ・ウスキーは伝統的に3回蒸留すると言われますから、ここにも3つ蒸留器がありますね。


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次は、Room 106 という部屋に入ります。


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106というのは、最終的に商品を完成させるまでに試したサンプル・ブレンドの数だそうです。ここでは、実際のウイスキーを味見しながら、原料や作り方などについて説明を受けます。


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次の部屋は Flavours Room という名前なのですが、ここがこの蒸留所のツアーのユニークなところになります。好みに合わせて自分でカクテルを作りましょう、という趣向なのです。


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甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の中から1つを選び、ロウ&コ・ウイスキーをベースにして作るのです。私はカクテルを作るのも初めてだし、メジャー・カップを触るのすら初めてじゃないかなと思います。これはおもしろかったです。


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最後はバーでのんびりワン・ドリンク。せっかくなので私はカクテルをいただきました。


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この見学ツアーの特徴は、カクテルに重点を置いていることや、バー/ショップの内装からもわかるように、若い男女をターゲットとしていることです。ウイスキーと言うと、渋めの男性がロック・水割り・ストレートで飲んでいるという印象が強いと思いますが、そういうイメージとは別の路線を目指しますよ、ということなのでしょう。ボトルのデザインにもその意思は表れているように思います。


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ロウ (Roe) という名前は、トーマス・ストリート蒸留所を経営していたロウ一族にちなむものです。1800年代後半に、世界最大のビール醸造所であったギネスと、世界最大のウイスキー蒸留所を所有していたロウ一族が、21世紀になって合体したということになります。

 

私は見学ツアーに1人で参加したのですが、カクテルを作るときにわいわいできるので、お友達と出かけた方が楽しいと思います。いまウェブページを調べてみたら、時間帯によっては、17ユーロで入場できるようです。

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ダブリン・リバティーズ蒸留所

蒸留所
05 /14 2020

今回は、リバティーズ地区に3番目の蒸留所としてオープンしたダブリン・リバティーズ蒸留所についてご紹介します。


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ダブリン・リバティーズ蒸留所は、クイントエッセンシャル・ブランズ (Quintessential Brands) 社がオーナーです。ロンドンに本拠を置く同社は、主に蒸留酒の製造と販売を業務としています。投資銀行に勤めていたウォレン・スコット氏とカンパリの社長を務めたエンゾ・ビゾーネ氏により2011年に設立されました。

 

同社は、まずリーシュ県のアビーリーシュにあるファースト・アイルランド (First Ireland) 社を買収してアイルランドに進出します。オマーラズ (O’Mara’s) やフィーニーズ (Feeney’s) というブランドのクリーム・リキュールを製造しています。

 

その後、同社は2015年に新進のウイスキー会社であったダブリン・ウイスキー・カンパニー (Dublin Whiskey Company) を買収。リバティーズ地区に蒸留所とビジター・センターを建設することを発表しました。マスター・ディスティラー (主任蒸留技師) として、ブッシュミルズ蒸留所で17年の経験を持つダリル・マクナリー氏を迎えています。

 

2019年の2月の末頃ですが、カフェでお昼ごはんを食べようと思って久しぶりにティーリング蒸留所に行きました。それで、ダブリン・リバティーズ蒸留所がそろそろこのあたりにオープンするという話を聞いていたので、あたりを散歩してみました。

 

そうしますと、ティーリング蒸留所の裏の通りに新しい蒸留所が見つけました。ティーリング蒸留所の裏口とダブリン・リバティーズ蒸留所の入り口の距離は50メートルもないくらいの位置です

 

オープンしているようでしたので中に入ります。ショップでミニボトルを3本ほど購入。POSコードのスキャンの仕方とか、50ユーロ札の偽札発見ペンの使い方とか、まだ慣れてない感じです(アイルランドでは50ユーロ札を使うと、レジの人がペンを走らせて偽札かどうかをチェックすることがよくあります。たぶん透かしが良く見えるようになるペンだと思います)


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お店の人に、いつオープンしたのか聞いてみると、実は正式オープンは翌日とのこと。今日はスタッフのトレーニングも兼ねて、仮オープンの状態なのだそうです。

 

見学ツアーについても聞いてみたところ、実は3時からツアーをやるのだといいます。時計を見ると250分。ツアーもトレーニングを兼ねているので、今日は参加料はいらないとのこと。もちろん参加させてもらうことにします。


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今日のツアー参加者は12人。近所に住んでいるアイルランド人5人、スウェーデン人の熟年カップル3組、そして私です。みんな、たまたま迷い込んできた人です。

 

ガイドさんは、若いスペイン人女性のミリアムさん。語り口も初々しい感じ。

 

ツアーは「ウォーター・ルーム」と呼ばれる部屋から始まります。ここでウェルカム・ドリンクとしてハチミツ入りウィスキー・リキュールをいただきます。モニターも用意されていたので、本来ならビデオ上映を行う計画があるのかもしれませんが、今日はガイドさんのお話。アイリッシュ・ウィスキーの簡単な歴史とか、ここリバティーズ地区の歴史とかですね。


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いよいよ製造設備の見学に入ります。残念ながら撮影禁止でしたので写真はありません。


ここの設備は独立系の蒸留所としてはかなり大きいです。仕込みや発酵のタンクは3階建てビルの高さほどあります。ポットスティル(蒸留器)3つあって、これもしっかりしたサイズです。

 

稼働したばかりということもあってか、匂いや熱などの現場感はまだありせんでしたが、樽をうまい具合に配置したりして、見学者向けに「見せる」演出も工夫していました。

 

さて、いよいよバーでの試飲です。


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ここの蒸留所のウィスキー・ブランドは2種類あって、1つが「ダブリナー」、もう1つが「リバティーズ」です。きょう試飲するのはダブリナーの3年ものと、リバティーズの5年ものです。


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私の個人的な好みでは、リバティーズの5年ものがおいしかったですスパイシーで複雑な深みのある味わいです。


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(上の写真はすべてミニボトルです)

 

Webサイトでお値段を調べてみますと、700ml ボトルでダブリナー3年ものが28ユーロ、リバティーズ5年ものが45ユーロ、ウイスキー・リキュール(赤ラベル)22ユーロでした。

 

あと、デッド・ラビット (Dead Rabbit) というブランドのウイスキーもショップで売っていました。ニューヨークにデッド・ラビットという有名なアイリッシュ・パブがあるのですね。そこのパブとの提携で作っている製品ではないかと思います。


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(ミニボトルです)

 

しばらくしたら、もう一度行ってみようと思っていたのですが、残念ながら現在は新型コロナウイルスの影響で休業中です。ロックダウンが終わったらまた訪ねてみたいと思います。写真撮影もOKになるような気がするので。見学ツアーは16ユーロと32ユーロのコースがあるようです。


また、カフェも併設されています。


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ダブリン・リバティーズ蒸留所Webサイト


参考資料

UK drinks group buys Dublin whiskey company (2015/4/1、アイリッシュ・タイムズ紙)


Quintessential to spend €4m developing premium Irish liqueurs (2016/3/3、アイリッシュ・タイムズ紙)


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tarafuku10

アイルランド・ダブリン在住。男性。